「幻の大滝」とは!岩に隠れて見えない幻の滝で!劔沢にかかるD滝!

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「幻の大滝」とは!岩に隠れて見えない幻の滝で!劔沢にかかるD滝!

 

黒部渓谷の十字狭を劔沢に登ると、その上流に巨大な滝がかかりますが、

そこには誰も行くことの出来ない「幻の滝」があります。

劔沢にはAからIまでの九つの大滝があって、一番下がI滝でその上流には、

近づくことのできない幻の滝=D滝があります。

「幻の滝」は巨大な岩壁に隠されていてそれが、劔沢大滝で落差が150m。

これが黒部渓谷十字狭で、左の沢が幻の大滝がある劔沢、右が棒小屋沢。

黒部川の登山口から17kmの地点に十字峡があります。

そこまでは黒部ダムを作った時に、岩壁をえぐり作った険しい道がありますが、

十字峡の上には沢伝いでないといけません。

崖はチロリアンブリッジをかけて渡り、

劔沢は水温5度で身を切るような冷たさの中を進む。

一週間かけて劔沢大滝の直下のI滝にたどり着く—–それほどの難所。

だが難所の本番はここから始まるのです!

黒部十字峡の地図で、左の沢が劔沢で、十字峡の上流1.5kmに劔沢大滝があります。


 

登山家の清水さんがI滝の右の岩壁を登る—–6時間をかけてI滝の右側を登りきった!

絶壁の裏側に降りてゆくには、50mの岩壁の登攀が続く!

最後の岩場へ辿り着くが、

樹木がかすかにありそれを手掛かりに、D滝の降り口に辿り着いた。

他のスタッフはチロリアンブリッジのロープを用意して、

撮影機材を運ぶが50mの岩壁に苦労の連続だ!

高さ50mの空中を一人ずつ渡ってゆく。

最後の最後に50mの高さの岩壁を降りてD滝の直下に!

出発して2週間幻の大滝は目の前だ!

夢が近づいてきました!

ついに滝つぼへ降りました。

幻の大滝が今、目の前にある!

日本で初めて幻の大滝へ降りました!!

光のほとんど差し込まない、幻の大滝!劔沢大滝!

D滝!

今、その轟音を轟かせています!!!

そこで、幻の大滝の詳しい歴史を調べてみました。

黒部峡谷は、富山県黒部市、黒部川中流 – 上流にある峡谷(V字谷)です。

清津渓谷、大杉谷とともに日本三大渓谷、日本の秘境100選の一つにあげられています。

現在では黒部湖を境に下流側が「下廊下」、上流側が「上廊下」に分けられる。

上廊下のうち薬師沢小屋から源頭部までは「奥廊下」と呼ばれる。

黒部ダムが完成するまでは下廊下と上廊下の間に「中廊下」もあったが、

現在は黒部ダムのダム湖である黒部湖の下に沈んでいる。

廊下とは絶壁に挟まれた深い谷を意味する。

剣沢大滝は別名「幻の大滝」といわれ、その存在は古くから地元の猟師の間で語りつがれていたが、

実際に滝が発見されたのは大正14年黒部のパイオニア

「冠松次郎」氏が棒小屋沢からながめたのが最初です。

冠氏はその後昭和2年8月、最下段の滝のごく近くまで近づいている。

同氏の観察では滝は三段、約300メートルということだった。

鵬翔山岳会が大滝にいどみ、一回の偵察の後に昭和37年9月その完登に成功、

幻の大滝のベールをはいだわけである。

その結果これまで三段あるいは四段と思われていた滝の数が実際には大小合わせて九段、

落差約140メートルであることが判明しました!

剣岳東面の全雪渓の水を集めた剣沢は二俣で一本になり、

狭い渓谷をいっきに駈けおり十字峡で黒部川に合流する。

大滝は十字峡の上流約1.5キロ、そそりたつ岩壁の間にかかっており、

渇水期といえどもおびただしい量の水を踊らせている。

滝の両側は300メートルもそそりたつ垂壁で、

登攀は絶えず爆発したような物凄い水流を脚下に見おろしてがら行なわれる。

大滝はスケールが大きい上に従来の沢登りと異なり、人工登攀的な要素が多く、

またルートも変則的なもので途中で引き返すことができなくなる可能牲もある。

さらに、登攀終了後のルートは幾つかあるが、そのいずれも大滝登攀と同じくらいの体力を必要とします。

[アプローチ]

最初に私が大滝の試登を行なった時は、

関西電力専用軌道で阿曽原に入り、一般登山道を仙人池へ登った。

そして南仙人山から東に延びるガンドウ尾根を下り、

途中から大滝直下に急傾斜に落ち込んだギャップの多い枝尾根(大滝尾根)を下って大滝の下に達した。

しかしこのルートは南仙人山から先に道がなく、

かすかな踏跡やナタメ程度でルートは判然とせず、そのうえ身丈を没する猛烈なヤブコギを強いられ、

大滝に取付く前にその体力の半分を消耗してしまう程である。

そこで次にのベる十字峡から剣沢を溯って近づくのが、最も簡単でかつ最良のルートでしょう。

十字峡までは関西電力専用軌道の終点仙人駅から、

黒部川下ノ廊下につけられた旧日電歩道の水平道路を約一時間半程で簡単に達せられる。

十字狭にたどり着くまでが大変で、

この黒部川下ノ廊下につけられた旧日電歩道の水平道路で行くと早くゆけます。


 

さて、十字峡から剣沢に入るわけですが、剣沢が黒部川に流れ込むあたりの

200メートルほどはゴルジュになっており、剣沢の全水量がごうごうと流れている。

したがってこのゴルジュ帯を巻くために十字峡の剣沢右岸の台地から、

黒部別山へ向かって切り開かれた古いトレイルをたどり、

途中からトレイルをはずして剣沢右岸山腹のブッシュ帯に入る。

山腹を剣沢上流に向かってトラバースし、小さなガリーを利用して剣沢へおりる。

この間は特にトレイルはなく、要はゴルジュを巻いたと思われる所で剣沢へ下ればよい。

大滝下までの剣沢溯行は幾度かの徒渉をまぬがれない。

私が行ったのは9月であるが二度の徒渉を行ない、大滝から10分ほど手前の剣沢右岸に幕営した。

天幕を持参しない場合は、もう一度左岸に移ると大きな岩のごろごろした所があり、

二人ほどもぐり込める小さな岩小屋なら幾つも見つけることができる。

[登 攀] 左岸を50メートル行くと突然目の前に「I滝」が現れれる。

ものすごい量の水が流れ落ち、あたりには水煙がたちこめている。

一番狭い所で右岸に移り(チロリアン・ブリッジで渡った)滝壺に近づく。

この38メートルのl滝の上に出るルートは、滝と右側にある「急峻なルンゼ」の中間草付帯である。

滝壺の前の浅瀬を選んでふたたび対岸に移り急峻なルンゼに入る。

これが突然目の前に現れる「I滝」で、この岩場を登らなければ「D滝」には行けない。


 

ルンゼの入口でザイルを結び少し登って左の草付帯に入る。

最初の急な草付は手強いが、やがてブッシュが現れれ登攀の助けとなる。

約180メートルほどで、私たちが「たき火のテラス」と呼んでいる大きな外傾した台地に出る。

台地の縁に立って大滝の核心部ゴルジュの中をのぞき込むことができる。

両側の岩壁がぐっとせばまり、はるか下の薄暗い中に白い流れが見え「G滝」「F滝」を確認することができる。

さて台地の上端から埋め込ボルトを支点として、流れに向かって10メートルほど垂直に下る。

ここが第一の不帰の地点とでもいうべき所で、私たちは退路を断たぬように縄バシゴをセットした。

懸垂で下るにせよ、とにかく何らかの方法でルートを確保し、決して退路を断ってはならない所である。

おりた所は小さなスタンスで、ハーケンで体を吊って二人がどうやら立つことができる。

I滝の右の絶壁に挑む志水さん、6時間かけて登りきった。

ハーケンと埋め込ボルトによる人工登攀で水身上部のトラバースを行う。

両側の壁は約300メートル垂直に切れ、昼間だというのに薄暗い奈落の底をゴウゴウと流れる水、

その中でG滝、F滝が白くひかって見える。

はるか前方の水煙の中に大滝第二の威容を誇る30メートルの「D滝」が姿を現わす。

約35メートルで次の中継地点に着く。

ここからふたたび第二の不帰の地点を下降しなければならない。

私はかぶりぎみの壁を縄バシゴにゆられながら13メートル下り、

さらに10メートルをフィックス・ロープを張って下ったが、ここも絶対に退路を断ってはならない所です。

目の前に「E滝」を見ながらの登攀、そして「緑の台地」めがけて斜め左へと人工登攀が続く。

約40メートルで緑の台地に着く。

ここは絶壁にかかった見晴し台で直ぐ前にD滝の全容がのぞまれる。

この滝はたいへん美しい急な滑滝である。

滝壺は青々と水をたたえ、それを囲む岩壁はまるでスリバチを思わせる。

これが幻の滝でD滝です。


ここからルートは緑の台地左端のリッジから取付いて、真上にある急なガリーに入る。

一、二カ所もろい小さなハングがあるので注意がいる。

緑の台地から三ピッチほどで左の岩稜に移る。

すでに水身からはかなり遠のき、D滝ははるか下になる。

そして上流を見れば、大滝上部の剣沢がどこまやも続いている。

登って来たルートをふりかえると、

そそり立つ両側の岩壁はⅤ字状をなしています。大滝のスケールの大きさを感じさせる所だ。

さて、この岩稜を二ピッチ登ると岩稜を離れ左へ15メートルほどトラバースできる所があります。

D滝が足下に見える。

ここが第三の不帰の地点です。

埋め込ボルトを支点にして、かぶりぎみの壁を40メートル、

ところどころ空中懸垂を交えて下降する。

ここを下ってしまったら、今まで登攀して来たルートをもどることは非常に困難だ。

前進あるのみ。

さらに15メートルほどザイルにすがって下ると、

D滝の落口へ導く小さな尾根におりたつことができる。

そして落口へは50メートルほどのブッシュ帯の下降で達する。

上流には「C滝」「B滝」「A滝」を確認できます。

劔沢のゴルジュ帯。



 

志水さん達は「I滝」の前に立った。6時間かけてI滝の右の絶壁を登った。

絶壁の裏側へ降りて行くわけだが、その前に50mの岸壁の登攀が続く。

樹木の微かにあるところにつき、最後の岩場へ!

チロリアンブロックのロープを用意して、撮影機材を運ぶ。高さ50mの空間を一人ずつ渡ってゆく!

50mの岸壁を降りてゆく—–D滝だ!出発して二週間幻の大滝は目の前!

夢が近づいてきました!ついに滝壺へ降りた!!幻の大滝が今、目の前にある!!

初めて幻の大滝に降りました!

光のほとんど差し込まない幻の大滝!

劔沢大滝!D滝!

今、その轟音を轟かせています!!!

これがNHKで放送した劔沢大滝の最後の一節です。

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ABOUTこの記事をかいた人

私はかなり高齢な建築家です。出身は伊豆の湯ヶ島で多くの自然に触れて育ちました。少年時代の思い出も記事になっています。趣味が多くカテゴリーは多義に渡ります。今は鮎の友釣りにハマっています。自然が好きで自然の中に居るのが、見るのが好きです。ですので樹木は特に好きで、樹木の話が多く出てきます。 電子書籍作りも勉強して、何とか発売できるまでになりました。残り少ない人生をどう生きるかが、大事です。