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フィロキセラ  対策は接木で!
今から150年以上前に、ヨーロッパで葡萄の木に害虫が、大流行したのが「フィロキセラ」です。今日はその紹介をします。
1850年代にアメリカ産葡萄の苗とともに、ヨーロッパに渡った害虫が「フィロキセラ」—–1863年にまずローヌ河畔の葡萄に被害が出始め、瞬く間に各地に伝播して、フランスでは約20年間に、100万ヘクタールの葡萄畑が破壊されました。
そして1870年にはオーストリアへ、1883年にはイタリアへ。さらに1885年以降ドイツまで広がり、葡萄畑に大きな被害を与えて、所によっては壊滅寸前まで追い込まれています。
フィロキセラの幼虫は微細であるため、最初は昆虫であることすら分らず、成虫になると羽が生えて、ウンカのごとく飛散するため、被害が瞬く間に拡大するのです。この幼虫は、葉には寄生せず根に寄生し、葡萄の木を丸ごと一本枯らしてしまいます。
解決策のひとつは、この害虫に抵抗性のあるアメリカ系の台木に、ヨーロッパ系の葡萄を接木する方法でした。しかし初めは、野卑な葡萄の血が高貴なヨーロッパ種の血を汚すと、信じていた人も多かったと言われています。
ブルゴーニュでは1887年まで、事態の深刻さが分らず、接木を公式に禁止していましたが、結局、他に有効な対策も見つからず、この接木作業をフランス全土で進めて、19世紀末にはこの被害を克服してしまいました。
なお、チリだけは、フィロキセラ以前の葡萄の木を使っています。
ところで全く別の心配ですが、イタリア南部のプーリア州での、オリーブオイルの木への病気の広がり—–政府が特産品への影響を防ごうと、非常事態を宣言し、対応に追われているそうです。因みにプーリア州は、イタリア最大のオリーブオイルの産地!
なお、欧州連合(EU)は2015年3月にイタリア南部で、オリーブオイルの木を枯死させて、病菌株の拡大を阻止するための「徹底した警戒態勢」を呼びかけたそうです。
オリーブオイルの木の被害がこれ以上広がらないよう願うばかりです!

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ABOUTこの記事をかいた人

私はかなり高齢な建築家です。出身は伊豆の湯ヶ島で多くの自然に触れて育ちました。少年時代の思い出も記事になっています。趣味が多くカテゴリーは多義に渡ります。今は鮎の友釣りにハマっています。自然が好きで自然の中に居るのが、見るのが好きです。ですので樹木は特に好きで、樹木の話が多く出てきます。 電子書籍作りも勉強して、何とか発売できるまでになりました。残り少ない人生をどう生きるかが、大事です。