知らなきゃ損する お金の制度!急病、老後――様々な場面で生活の支えとなる「お金の制度」がある!見落としや誤解が多い!
知らなきゃ損する お金の制度!急病、老後――様々な場面で生活の支えとなる「お金の制度」がある!見落としや誤解が多い!!
急病、老後――様々な場面で生活の支えとなる「お金の制度」がある。
身近なようでいて、
実は意外に見落としや誤解が多い。
「知らないままでは損をする」ものは?
専門家に選んでもらった。

1位・870ポイント 高額療養費制度! 毎月の医療費負担に上限!
1位・870ポイント 高額療養費制度! 毎月の医療費負担に上限!
毎月の医療費に上限を決めておき、これを超える負担が生じた場合に払い戻してくれる制度だ。
もっとも健康保険によって医療費の自己負担は現役世代で3割となっているが、この制度でさらに支出が抑えられる。
その人の収入などによって上限額は違うが、医療費が月に合計100万円かかっても、
健康保険で30万円になり、さらにこの制度で最終的な負担が9万円弱で済む制度がある。
勤め先の健康保険組合が「付加給付」というもう一段の上乗せを用意していて、2万円に抑えられる場合もある。
上限を超えた額は通常3~4ヶ月後に払い戻してもらうことになるが、
「事前に入院などがわかっている場合は『限度額適用認定証』
という書類を取っておけば、建て替えも要らない」竹下さくらさん。
入院や手術などに備える民間の医療保険は本来「この医療費高額制度の対象外の費用に備えるもの」場養雅子さん。
ところが「制度の説明が不足していると感じる。
加入している保険組合の制度で月の上限医療費が数万円で済むと恵まれているのに、
高額な医療費保険にバッチリ加入している例があった」深野康彦さん という指摘が多い。
まずは高額医療費制度の仕組みをしっかりと確認しておきたい。

2位・670ポイント 年金受給の繰上げ・繰り下げ!22年4月以降は「75歳から」選択肢!
2位・670ポイント 年金受給の繰上げ・繰り下げ!22年4月以降は「75歳から」選択肢!
公的年金は原則65歳からもらうが、60~70歳から受け取りも選べる。
早くもらえば繰上げ、遅く貰えば繰り下げだ。
繰り上げると1ヶ月ごとに年金は0.5%=2020年4月以降は0.4%減り、
繰り下げると1ヶ月ごとに0.7%増える。
計算すると、年金は60歳に繰り上げれば30%減、
70歳まで繰り下げると42%増だ。
「来年4月から繰り下げが75歳まで延長されることで注目テーマの一つになった」藤川太さん。
延長後に75歳まで繰り下げたとすると年金は84%増額にとなる。
ただし実際に受け取る総額はどれほど長生きするかで変わる。
目先の増額よりも「繰り上げた場合に長生きすると、
普通にもらう場合より年金総額は少ない」森本幸人さん 点は見落とせない。
想定よりも長生きしたとき、年金が少ない不安は大きい。
「公的年金は『保険』。
損得で考えず、長生きした時の安心感を優先すべきだ」大江英樹さん

3位・650ポイント 年金保険料の免除・猶予!受給資格機関に算入、追納で受け取り増!
3位・650ポイント 年金保険料の免除・猶予!受給資格機関に算入、追納で受け取り増!
20歳以上60歳未満が加入する国民年金=基礎年金。
学生で収入が十分ない、社会に出た後でも失業などで保険料を
払う余裕がない場合は保険料の全額または一部の免除、納付猶予の手続きがある。
「手続きが承認されれば、年金受給期間に参入される」平野敦之さん。
つまり免除・猶予期間も年金を=もらうのに必要な加入期間10年以上 と扱われる。
重い障害を負う、亡くなるといった万が一のときに障害・遺族年金の対象となり得るのも大きい。
免除・猶予とも10年以内であれば後から保険料を納め=追納、受け取る年金を増やすこともできる。
何も手続きせず、ただ保険料を払わない「未納」に恩恵はない。
「若い学生も重要性を知り、きちんと対応したい。
手続き忘れは損しかない」竹下さん

iDeCo(イデコ)!(個人型確定拠出年金)税優遇 加入年齢に注目!
4位・570ポイント iDeCo(イデコ)!(個人型確定拠出年金)税優遇 加入年齢に注目!
公的年金に上乗せして個人が任意で加入する私的年金。
掛け金、運用益、給与を受け取るときに税優遇がある。
掛け金が全額控除、運用益も非課税となるのは
「収入が高い人や長期運用できる若い人の資産形成に強い味方」和泉昭子さん
となる。
受け取る時の税優遇はやや複雑だ
「一時金で受け取るか年金で受け取るか、ほかの退職金や年金も併せて考える必要がある」大江さん。
「(条件を満たせば)22年には加入できる年齢が60歳未満から65歳未満になるほか、
受け取り開始年齢は75歳まで拡大される」井戸美枝さん のも知っておきたい。

5位・560ポイント 傷病手当金!業務外の病気やケガが対象!
5位・560ポイント 傷病手当金!業務外の病気やケガが対象!
健康保険組合などに加入する会社員らが業務外の病気やケガで働けないときに受け取れる。
給与の3分の2程度が最長1年半支給。
「退職前から受給しているなど一定要件を満たすと、
退職後も受給が続くので長期の保障になる」上野香織さん
現在は途中出勤などで不支給期間があっても開始から1年半までだが、
法改正で22年からその間は含まずに通算1年半まで受け取れるようになる。
「傷病手当金があるのに民間保険に手厚く入る例が多い。
一方で傷病手当金が基本的にない自営業者らで
働けない時の備えがおろそかな例もある」深野さん ので注意したい。

6位・410ポイント 遺族年金!働き方や家族構成を確認!
6位・410ポイント 遺族年金!働き方や家族構成を確認!
国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなったとき、
その人によって生計を維持されていた遺族が受け取る年金。
基礎と厚生の2種類がある。
「一家の大黒柱が亡くなったときに請求できると思われがちだが、
共働きで収入が少ない方の配偶者が先に亡くなった場合なども要件を満たせば請求可能」望月厚子さん
もらうことができるか否か、金額がどうかは子どもの有無、会社員か
自営業かなどの条件によって変わるので専門家に相談して確認したい。
「遺族年金の額を知らないと不必要に高額な民間の生命保険に加入することになりかねない」藤川さん という声もあった。

7位・400ポイント 厚生年金の適用範囲!対象拡大「扶養」の働き方に影響!
7位・400ポイント 厚生年金の適用範囲!対象拡大「扶養」の働き方に影響!
パートやアルバイトなどで働く人も一定の基準を超えると、厚生年金などの社会保険に加入する。
「以前は正社員の4分の3以上の労働など(条件により)厳しかったが、
現在では(従業員501人以上の会社などで)週20時間以上働くといった
基準を満たせば加入となっている」森本さん
配偶者の扶養範囲内にいた人は新たに保険料を払うことになる一方、将来受け取る年金は増える。
「22年10月からは従業員101人以上の会社まで適用が拡大される」上野さん ので、
検討が必要となる人は一段と増えそうだ。

8位・340ポイント NISA(少額投資非課税制度)ば客駅や配当に税金かからず!!
8位・340ポイント NISA(少額投資非課税制度)ば客駅や配当に税金かからず!!
株などの売却益や配当には通常20%の税金がかかってくるが、
NISA(ニーサ)口座で毎年一定額の範囲で購入した金融商品の利益に対しては税金がかからない。
「運用の経験がない人はそもそも約20%の税金を知らず、
優遇と言われてもピンとこない」馬養さん かもしれないが、実際は大きな差になり得る。
基本は一般NISA、積立NISAの2種類。同じ年に両方は使えず、どちらかを選ぶ。
24年に一般NISAは仕組みの異なる新NISAになる。
「もし金融所得課税が将来強化されるようであれば重要性はより高まる」平野さん との意見もあった。

副業(復業)時の確定申告!所得20万円意識、税還付も!
9位・320ポイント 副業(復業)時の確定申告!所得20万円意識、税還付も!
新型コロナウイルス渦で働き方が変わるなか、改めて注目が集まった副業(複業)。
会社員がフリーランスの立場で副業をして、その所得が年間20万円を超えるなどすると確定申告が必要になる。
一方、副業先でも雇われて給与をもらっている場合にはその給与収入が20万円をこすかが基準になる。
ただし20万円を超えなくても「2カ所以上から給与をもらっていると、
多くの場合、確定申告によって税が還付される」市川恭子さん という。
所得税が申告不要なケースであっても「住民税は申告が必要なので忘れないように」井戸さん したい。

10位・310ポイント 教育訓練給付制度!社会人の「学び直し」支援!
10位・310ポイント 教育訓練給付制度!社会人の「学び直し」支援!
働くためのスキルアップ費用の一部を出してもらうことができる制度だ。いくつかの種類に分かれている。
例えば専門実践教育訓練は最大で受講費用の70%(年間上限56万円、最長4年) が支給されるので、
「仕事に直結できる資格をリーズナブルに取得することができる」柴原一さん。
一定の要件を満たす必要はあるが、「非正規社員でも支給される」吉野一也さん、
「退職した人も利用できる」望月さん など、対象となる人は一般に思われているより広い。
社会人にとって学び直しの重要性が高まっていることもあり、注目が集まりそうだ。

医療費や退職金「控除」に要注意!
医療費や退職金「控除」に要注意!!
10位までに入らなかった制度についても専門家から注意点が寄せられた。
例えば医療費控除。
年10万円(総所得金額が200万円未満の場合はその5%)を
超えると使えるのは知っていても、見過ごしがちな点がある。
「(健康保険が適用されない)自費治療は全て対象外と思う人がいるが、誤解」市川さん。
一定の条件を満たせば保険外の歯科治療などでも対象になる。
「介護サービスにも対象となる費用があると知らなかったり、
逆に全額対象になると思っていたりする人がいる」柴原さん。
セルフメディケーション税制にも注意したい。
対象の医療品購入額が年1万2000円を超えた分が対象となるが、
医療費控除とどちらか一方しか適用されない。
退職所得控除も気を付けたい。
退職金やイデコの一時金などはいずれも退職所得とみなされる。
「受け取りは一時金か、年金か、一時金の場合はいつ受け取るかなどにより、
手取額や医療・介護の負担割合が変わってくる」和泉さん。
老後の生活設計に影響するので、慎重に検討したい。

ランキングの見方!調査の方法!
ランキングの見方!調査の方法!
日常生活に関わるお金の制度の名称。数字は専門家の評価を点数化。
写真はイメージ、イラストは蒲田多恵子。
調査の方法 個人の家計管理や資産運用に詳しい専門家の協力で「多くの人が使う可能性があるお金の制度」を27項目抽出。
ファイナルシャルプランナーと税理士、
社会保険労務士ら専門家14人に「一般の人がよく知らない/誤解が多い」
「使いこなせないと家計への影響が大きい」といった観点で、
生活者にとって重要と考えられる順に挙げてもらい、
編集部で集計した。(堀大介が担当しました)
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