灼熱の金星・探査目白押し!厚い二酸化炭素=CO2 の大気や硫酸の雲に覆われて地表はセ氏400度を超える灼熱の世界!

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厚い二酸化炭素=CO2 の大気や硫酸の雲に覆われて地表はセ氏400度を超える灼熱の世界だ!


灼熱の金星・探査目白押し!厚い二酸化炭素=CO2 の大気や硫酸の雲に覆われて地表はセ氏400度を超える灼熱の世界!

 

米欧を中心に金星の探査計画が相次いでいる。

金星は大きさや成分が地球の双子星と呼ばれる一方、

厚い二酸化炭素=CO2 の大気や硫酸の雲に覆われて地表はセ氏400度を超える灼熱の世界だ。

なぜこれだけ異なる環境になったのか。

太陽系や惑星の進化の過程だけでなく、地球温暖化の研究にも役立つと期待される。

6月2日、米航空宇宙局=NASA は2つの金星探査計画を同時に承認した。

「ダビンチ+」は直径1mほどの球状をした探査機を着陸させ、地表の様子や地表近くの大気の成分を調べる。

「ベリタス」は合成開口レーダー=SAR で上空から地表を詳しく調べ、火山活動やプレートテクトニクスの有無などを探る。

ベリタスは上空から特殊なレーダーで地表の様子を詳しく調べる!

2つの探査機は2028~30年の打ち上げを予定する。

NASAが金星探査機を打ち上げるのは1989年の「マゼラン」以来。

サブケーン化学局長は「地球に似た惑星がどうやって温室のようになったのかを理解したい」とする。

6月10日、欧州宇宙機構=ESA も新たな探査計画「エンビジョン」を打ち出した。

31年に打ち上げて金星の上空を周回しながらレーダーなどの

観測機器で地表や地中の様子、大気の成分などを観測する。

ESAは発表の中で「NASAのミッションとともに、この謎めいた

惑星で包括的な科学プログラムを実施する」としている。

金星は地球と同じく岩石でできた惑星で、赤道半径も約6000kmと地球の約6400kmと大差がない。

太陽からの距離は地球の約70%。

多くの探査機が訪れている火星に比べ、大きさも太陽からの距離も地球に近い。

金星にも当初は地球と同じように海があったと考えられている。

しかし現在の金星の大気は約96%をCO2が占め、地表の温度はセ氏460度に達し、気圧は地球の約93倍もある。

硫酸の厚い雲に覆われて地表の様子は見えない。

温暖化ガスによる気候変動への懸念が高まるなか

「将来の地球を考える上でなぜ違うのかが重要」と東京工科大学の佐々木聡教授は指摘する。

激しい環境に阻まれて金星の探査は遅れていた。

1970年から85年にかけて旧ソ連や米国の複数の探査機が

金星の表面に到達したが、長いもので1時間程度しか観測できなかった。

新たな探査計画が相次ぐのは探査技術の進歩に加え、日本の金星探査機「あかつき」や欧州の

「ビーナス・エックスプレス」の観測で、金星を取り巻く大気の様子が詳しくわかり始めたことが大きい。

火星などの惑星探査では、まず上空からの観測や着陸で、表面の様子を詳しく調べる。

だが金星は表面の様子を調べるのが難しい。

そこで、まず金星を取り巻く大気の様子を調べようとしたのがあかつきだ。

金星を周回する軌道への投入は予定より遅れたが、長年の謎だったスーパーローテーションと言われる大気の動きを解明。

長年の謎だったスーパーローテーションと言われる大気の動きを解明!

大気に弓状の構造あることも発見し、雲の下にある高さ4kmほどの山脈の存在などが分かった。

あかつきのプロジェクトとマネジャーを務める中村正人・宇宙開発研究気候=JAXA 教授は

「地表から大気への影響が大事だということが分かってきた」と説明する。

そこで改めて金星の表面や地表近くの大気の様子を調べることが重要になった。

欧米の新たな探査機は、あかつきやビーナス・エクスプレスが観測したデータを基に、

日本の金星探査機「あかつき」は大気の動きなどの観測の成果を上げている!

最新の機器で地表の様子や地表に近い高度40km以下の大気を詳しく調べる。

金星の探査は太陽系の外の研究にも広がる期待がある。

ダビンチ+を担当するNASAの研究者は「金星は裏庭にある太陽系外惑星」と表現する。

これまで多くの太陽系外惑星が見つかっているが、詳しい事はわかっていない。

金星の詳しいデータを利用して、太陽系外惑星のモデルを検証できるのではないかと考えっれている。

欧米以外にも、旧ソ連時代に多くの探査機を金星に送ったロシアは探査機「ベネラD」の計画を進めている。

主な金星探査計画!

インドも金星探査を検討中だ。

日本のあかつきが開いた突破口から、金星の新たな姿が明らかになろうとしている。 

編集委員 小玉祥司 日経新聞。

 

 

金星探査機「あかつき」!


キーワード!金星探査の歴史!冷戦時代に先陣争い!

 

金星探査も月や火星と同様に冷戦時代の米ソが先陣を競った。

旧ソ連のベネラ計画をはじめ米国も金星に相次いで探査機を投入したが、

地表に到達する前に通信が途絶することが繰り返された。

初めて金星の地表に到達したのは旧ソ連の「ベネラ7号」で、

1970年に金星表面から20分間余りデータ送信に成功した!

旧ソ連の金星探査は84年に打ち上げたベガ2号が最後。

米国も89年以降、

金星探査機を送らなかった。

21世紀に入って欧州の「ビーナス・エクスプレス」との本の「あかつき」が上空から金星を詳しく観測している。

 

ではこれに関する研究をします!

 

 

「金星はなぜこんなに地球と違うんだろう」という探究心がわき立つのが、一番の魅力!


金星はなぜこんなに地球と違うんだろう」という探究心がわき立つのが、一番の魅力!

 

[金星の気象を徹底的に調べる]   

「最初に「金星はここが興味深い!」というのを教えてください。」   

「金星はなぜこんなに地球と違うんだろう」という探究心がわき立つのが、一番の魅力だと思います。

金星は地球と同じ岩石質の惑星で、大きさや質量は地球とそれほど変わりません。

ですから、誕生したばかりの大気の成分も似通っていたのではないかと考えられています。

しかし現在の金星の環境は、地球とは全然違います。

地球の大気の主成分が窒素や酸素であるのに対して、金星大気のほとんどは

二酸化炭素で、その上空は厚い硫酸の雲で覆われています。

硫酸の雲が太陽光をよく跳ね返すため、地球から見る金星はキラキラ輝いて見えます。

そのため昔から人々の関心を集めてきました。

これまで主にアメリカや旧ソ連の探査機が金星を周回して探査しましたが、

金星は分厚い硫酸の雲に覆われていて、その下の世界をなかなか見ることができません。

しかも、地表温度が400℃以上、気圧が90気圧以上もあるため、

探査機が金星に降り自由に動き回って調べることもできませんでした。

金星は、探査するには難易度が高く、いろいろな謎が置き去りになっている惑星です。

その謎を解明するのが「あかつき」なのです。

私たちが徹底的に調べるのは、金星の気象のメカニズムです。

金星の上空には「スーパーローテーション」と呼ばれる高速の風が吹いていて、高度60kmで時速400kmにもなります。

金星の自転周期は243日でゆっくり回っていますが、その上空には突風が吹いているのです。

自転周期に見合わない高速の風がなぜ発生するのか? 

また、厚い硫酸の雲がどのように作られているのか? 

といった金星大気の謎に、「あかつき」は迫ります。

「現在の金星の環境は地球と全く異なりますが、誕生した頃は似通っていたかもしれないのですね。」   

金星と地球(提供:NASA, JPL) はい。

現在の金星は表面温度が高く海もありませんが、かつては海があったのではないかともいわれています。

また、金星は濃い二酸化炭素の大気に覆われていますが、地球にも二酸化炭素がたくさんあります。

ただ、大気としてではなく、地面に隠れていて見えません。

地球では、二酸化炭素は海や川の水に溶け込みます。

水に溶けた二酸化炭素はカルシウムなどのミネラルと化合して

炭酸塩鉱物となり、海底の地面の中に隠されているのです。

ですから、仮に地球を金星の位置に持ってきたら、

太陽の熱で気温が上昇して水がすべて蒸発し、

地面に取り込まれた二酸化炭素が出てきて、金星のような

厚い二酸化炭素の大気に覆われた惑星になるかもしれません。

金星がどのようにして今のような灼熱の世界になったのかを

調べれば、地球がいかに特別な環境にあるかが分かるでしょう。

地球のことをもっとよく知るためにも、金星のことを知る必要があると思います。

現在、地球の環境問題が深刻化していますが、もしかしたら

金星は地球温暖化の究極の姿なのかもしれません。

金星を学ぶことで、このまま温室効果ガスが増えていったら

地球の気象がどう変わるのかが、見える可能性もあります。

そういう意味でも、金星探査には大きな意義があると思っています。

 

 

次々と見えてくる金星の新しい姿!初期観測の画像が公開されましたが、それを見て何を感じましたか?

次々と見えてくる金星の新しい姿!初期観測の画像が公開されましたが、それを見て何を感じましたか?!

 

[次々と見えてくる金星の新しい姿]    

「探査機の今の状況を教えてください。」   

あかつき(提供:池下章裕) 昨年の12月に金星周回軌道に入って以来、

搭載している6つの観測機器のテストや初期観測を行ってきました。

実際にカメラで撮影してみると、例えば、このカメラの

露出をもう少し変えた方がよいなど、いろいろ調整するところがでてきます。

本格的な観測を始められるのは今年の4月頃になる見込みです。

「搭載機器を一斉に使って金星を観測するのでしょうか?」    

「あかつき」には、異なる波長の光で調べるカメラが5つと、電波を使う観測機器が1つ搭載されています。

異なる波長とは、雷を見る可視光線、雲の温度分布を見る中間赤外線、

雲の一番高い所の化学物質を見る紫外線、地表面を見る近赤外線(1μm)、下層大気を見る近赤外線(2μm)です。

それぞれの波長の光が、それぞれ大気の違った高さの所を観測します。

また電波については、探査機から送られてくる電波を地球で受信して、金星大気の温度などを観測します。

地球から見て探査機が金星の向こう側に隠れる時と出てくる時に、電波が金星の

大気を横からかすめて通るタイミングがありますが、その時の電波の揺らぎを調べることで、大気の様子が分かるのです。

それらの観測機器を同時に動かして金星を観測しますが、同時といっても、必ずしもすべて一斉に動くわけではありません。

金星の昼側だけを観測するカメラは、探査機が夜側に回り込んでいる間はお休みします。

「あかつき」の観測で最も大事なのは、複数の波長の光で同時にかつ継続的に金星大気を調べ、その運動を三次元的に捉えることです。

1つのカメラで1枚の画像を撮っただけでは目的を達成できません。

金星は波長によって全く違った姿に見えますので、その複数のデータを組み合わせることで、大気の運動や雲の成因が分かってきます。

「初期観測の画像が公開されましたが、それを見て何を感じましたか?」   

異なる波長で撮影した金星。雲の温度分布(左上、中間赤外線)、硫酸雲の材料となる

二酸化硫黄の分布(右上、紫外線)、雲による太陽散乱光(左下、近赤外線)、雲の高低差(右下、近赤外線)。

着色に意味はない。 

軌道投入直後に撮った画像を見ただけで十分な手応えを感じました。

これだけでもすでにいろいろな発見があって、サイエンスチームでは非常に盛り上がっています。

自分たちが手塩にかけた観測カメラの、その視野いっぱいに、

どうしても撮りたかった金星が写っているのを見た時は嬉しくてしょうがなかったですね。

その時にようやく金星に着いたという実感が湧いてきました。

「それらの画像からどのような発見があったのでしょうか?」    

私たち研究者の間で特に盛り上がっているのが、中間赤外カメラで撮影した金星の画像です。

金星の雲の温度分布を捉えたこの画像を見ると、赤道域をまたいで北半球から南半球まで弓のような白い模様が写っています。

白い部分は温度が高いことを意味しています。

金星には、東から西に時速400kmもの高速の風が吹いていますので、

東西方向に筋があるのは分かるのですが、なぜ南北に走る帯状構造ができるのかが謎なのです。

このようなものが見えるとは全く想像していませんでした。

紫外イメージャで撮影した画像も、これまで見たことのない金星の姿を見せてくれました。

紫外線で見ると二酸化硫黄という物質が見えますが、この波長で金星を撮影したのは初めてのことです。

金星の大気には二酸化硫黄があり、それに太陽の紫外線があたると化学反応を起こして硫黄に変わります。

それが、金星全体を覆っている硫酸の雲の成因なのですが、

どこでどのように硫黄が作られて、雲の上に運ばれるのかは分かっていません。

このカメラで撮った画像の解析が進めば、金星の硫酸の雲ができるメカニズムや、

金星が硫酸の雲に覆われている理由が明らかになると思います。

ここは個人的にも大変興味があるところです。

さらに、近赤外線カメラで捉えた画像も大変興味深いものでした。

この画像からは、金星の北極と南極部分は雲が低く赤道付近では高くなっていること、

その高低差が東西方向の縞模様を描いていることが確認できます。

縞模様は東から西へ吹くスーパーローテーションの

影響かもしれませんが、なぜ場所によって雲の高さが違うのかが不思議です。

このように、初期観測の画像を見ただけで次から次へと新しい発見があり、嬉しい悲鳴をあげています。

まだ静止画でしか撮っていませんが、4月以降の本格的な

観測では、金星全体の大気や雲の動きを世界で初めて動画で捉えます。

それにより、一気に理解が進むと思っています。

 

 

金星で発生する雷のイメージ図!


軌道投入に再挑戦するまでの5年間、どのようにモチベーションを維持してきましたか?!!

 

[この5年間をプラスに変えて]   

「「あかつき」は5年間、軌道投入の機会を待ちました。投入に成功した時の気持ちはいかがでしたか?」    

「あかつき」が金星の周回軌道に入ったことが分かった時は、言葉にならないくらい感動しました。

軌道投入に再挑戦したのは2015年12月7日。まさに5年前の同じ日に、「あかつき」は軌道投入に失敗しました。

原因は主エンジンの故障で、燃料タンクにつながるガス配管の弁が詰まり、エンジンが破損してしまったのです。

そのため今回は、姿勢制御エンジン4基を使って再び投入に挑戦しました。

姿勢制御エンジンは出力が小さいため、4基合わせても主エンジンの5分の1ほどのパワーしかありません。

探査機の進行方向と反対向きの姿勢制御エンジンを約20分間噴射し、ブレーキをかけ、金星の引力にうまく捕まえられたら周回軌道に入ります。

姿勢制御エンジンを使った惑星軌道への投入は、史上初の試みです。

当日は、軌道制御チームの実力を信じ、固唾をのんで見守りました。

そして、計画通りの完璧なエンジン噴射を実施できたと分かった時、成功を確信したのです。

「軌道投入に再挑戦するまでの5年間、どのようにモチベーションを維持してきましたか?」    

軌道投入に失敗してゴールが遠くなったとはいえ、「あかつき」による金星探査を絶対に成し遂げるんだ、という強い意識を常に持っていました。

けれども、5年という時間を意識しすぎると辛くなるので、とにかく目の前のやるべきことだけを考えるようにしていました。

私に限らず「あかつき」のサイエンスチームは、運用も担当します。

それにより、探査機の性能と限界を熟知した上で、観測計画を立てられるという利点があります。

この5年間は、運用管制室で探査機にコマンドを送るのが日々の日課でした。

また、観測データの解析手法だけでなく、数値シミュレーションモデルの改良にも努めてきました。

その結果5年前に比べてはるかに技術が向上し、より多くの成果を出せる体制が整ったと思います。

遅れた5年間を無駄にすることなく、プラスに変えようという意欲で取り組んできましたが、チームみんなで実現できたと思います。

「当初の予定よりも金星の周りを大きく回る軌道に変わりましたが、観測計画に影響を与えますか?」  

あかつき  

現在「あかつき」は、金星の赤道上空を楕円軌道で周回しています。

金星に最も近い所で高度約1000kmから1万km。

最も遠い所で高度約36万kmという軌道を、約10日で周回します。

初期計画では約30時間で金星を周回する軌道に

投入する予定でしたので、それよりもかなり大きい軌道になったのは事実です。

けれども、当初予定していた計画で諦めたものは一つもありません。

すべてやり遂げるつもりでいます。

幸いにも観測機器は正常に動いていますし、もともと世界トップレベルの

解像度を持つカメラなので、今の軌道でも十分な成果が得られると信じています。

たとえば、気象衛星「ひまわり」の画像は天気予報などでは

日本上空しか紹介されませんが、実際には地球全体を撮影しています。

地球から遠く離れた軌道を回り、地球全体を

一つのカメラの視野に収めることで、地球規模の気象観測ができます。

同じように、金星の気象を調べる「あかつき」にとっては、

金星を近くで見るよりもむしろ、全体が見える離れた位置で観測することが大事なのです。

「あかつき」の設計寿命への心配についてはいかがでしょうか?」    

当初の設計寿命の4年半を超えた今でも、「あかつき」の観測機器はとても良好です。

大きく劣化している所もありませんので、残っている燃料の量からいっても、

かなり長いミッションができるのではないかと思っています。

慎重な運用を続け、1日でも長く探査機を長生きさせたいと思います。

 

 

世界が待ちわびた「あかつき」の観測!


世界が待ちわびた「あかつき」の観測!

 

[世界が待ちわびた「あかつき」の観測]    

「軌道投入成功に対する海外からの反応はいかがですか?」   

ビーナス・エクスプレス(提供:ESA) 軌道投入に成功したというニュースが流れた時、

世界中の研究者からもたくさんのお祝いメールが届き、メールボックスがいっぱいになってしまったほどです。

その直後に「ビーナス・エクスプレス」の会議があり、

私もテレビ電話で参加したのですが、みんな拍手喝采で喜んでくれました。

「ビーナス・エクスプレス」は、

「ビーナス・エクスプレス」は、2006年から2014年にかけて金星を観測したヨーロッパの探査機です!

2006年から2014年にかけて金星を観測したヨーロッパの探査機です。

彼らとはとてもよい協力関係にあって、2010年に「あかつき」が到着していれば一緒に観測する計画があったほどです。

「ビーナス・エクスプレス」が発見した謎を解き明かすためには

「あかつき」の到着を待つしかないと、みんなが軌道投入の日を待ち望んでいました。

ですから、とても大きな期待を感じています。

これはプレッシャーでもあり、なんとしても「あかつき」による

観測を成功させなければと、改めて気が引き締まる思いでいます。

「「ビーナス・エクスプレス」の観測成果を「あかつき」がどう引き継ぐのでしょうか?」   

金星で発生する雷のイメージ図(提供:ESA/Christophe Carreau)   

「あかつき」が金星大気の運動を三次元的に可視化するのに対して、

「ビーナス・エクスプレス」は主に大気の組成や地表面の化学組成を調べることを目的としていました。

このように違った特色を持ったミッションなので、それぞれの

成果を組み合わせることで新しいことが見えてくるだろうと期待されています。

また、「ビーナス・エクスプレス」は電波による金星大気の観測も行い、雷から出てくるような電波をいくつも捉えました。

でももし本当に金星に雷があるとしたら、それは私たちに大きな謎を投げかけることになります。

地球の雷は、雲の中にある氷の粒がぶつかり合い、この時の摩擦によって発生する静電気を起源とします。

地球の常識からすると、雷の発生には氷の粒が必要なのですが、灼熱の金星に氷の粒はありません。

だとしたら、なぜ金星で雷ができるのか? 

もしかしたら、私たちの常識を覆す雷の発生メカニズムがあるのかもしれません。

一方では金星の雷を認めない研究者もいます。

金星の周辺に電気を帯びた高層大気があり、そこで何らかしらの

運動が起きて、雷に似た電波が作られるというのです。

「あかつき」は、雷の発光現象を捉えるセンサーを

搭載していますので、この問題も白黒つけたいと思っています。

[風で感じる大気の循環]    

「今村さんが「あかつき」で特に解明したいと思っていることは何でしょうか?」 

金星大気のスーパーローテーション  

火星の砂嵐(提供:NASA/JPL/University of Arizona)

やはり、金星大気のスーパーローテーションの謎を解き明かしたいです。

スーパーローテーションの起因にはいくつもの仮説がありますが、どれもまだ理論上の話で決め手に欠けます。

「あかつき」で鍵となる現象を観測し、数値モデルを使った

シミュレーションで再現することで、確かな答えを見つけたいと思います。

でも私の場合、金星への関心だけではなく、そもそも惑星の「風」に興味があります。

学生時代に地球大気の研究をしていて、なぜ地球の風はこんな吹き方をするのだろう? 

という疑問を抱きました。そこで地球の風を研究していた時に、地球の

隣の惑星で、全く異なる訳の分からない風が吹いていることを知ったのです。

金星の風と地球の風の違いは何なのか? 

それが分かって初めて、地球の風のことを真に理解できるのではないかと思いました。

そして地球の風の吹き方の十分な理由が分かってくると、地球の環境を

どう変えたら金星のようになるのか、またその逆は…といったことも分かってくるはずです。

私は、地球と金星の違いの境目を知りたいと思っています。

私は風に興味があると申し上げましたが、それぞれの天体には異なる風が吹いているのをご存知でしょうか。

火星でも風が吹き、ときには嵐や竜巻が起こります。

その先の木星にも大気があって、風が吹いたり雷が発生するなど不思議な気象現象がたくさん起きています。

さらには、太陽にも大気があり風が吹いています。

このように天体ごとに異なる風が吹いていますが、その吹き方の違いはどこから来るのでしょうか? 

違いが生まれる根本的な理由は何なのか、ということも理解したいと強く思っています。

そしてさらには、系外惑星におけるスーパーローテーションの存在も明らかにしたいと考えています。

系外惑星には、金星のように中心星の近くを回るものが数多く発見されています。

条件さえ合えば、太陽系の外でも同じような現象が見られるのではないかと思っています。

「本当に風が好きなんですね。」    

そうですね。大気の流れによってものが循環する仕組みにとても興味があります。

地球においても、大気が流れているから我々は生きていられるんです。

例えば、地球では大気の流れが熱を地球全体に分配します。

もしそれが止まって熱が南北方向に運ばれなくなったら、赤道地域は海が全部蒸発し、高緯度地域は全てが凍りつきます。

こういった極端な世界になれば人間は生きていけないでしょう。

大気が循環しているからこそ、私たちはちょうどよい

気温のもとで生き、常に新鮮な空気を呼吸できるのです。

大気の循環がまさにその惑星の気候を作っているんですね。

そういう意味で、風はとても重要だと思います。

基本的に大気は流体で、流体というのはつながっています。

ですから、風は局所的なものではなく、連続体なのです。

例えば、ある場所で非常に強い風が吹いている場合、そこだけで

吹いているのではなく、それは世界中を駆け巡っている風のほんの一部です。

そもそも風というのは、地球を取り囲んでいるジェット気流の一部ですから、

私は風にあたっていると、地球全体を取り囲む大気の流れを感じて壮大な気分になるんです。

ですから強風の日に外で風にびゅうびゅう吹かれているのが大好きです(笑)。

後略!

今村剛(いまむらたけし) 

今村剛(いまむらたけし) JAXA宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 准教授 博士! 

JAXA宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 准教授 博士(理学)  

1998年、東京大学大学院地球惑星物理学専攻博士課程修了。 

同年、旧文部省宇宙科学研究所(現JAXA)に赴任。 

これまでに火星探査機「のぞみ」や月周回衛星「かぐや」などの電波科学観測に携わる。

専門は惑星大気科学。    

ファン!ファン!JAXA より。

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ABOUTこの記事をかいた人

私はかなり高齢な建築家です。出身は伊豆の湯ヶ島で多くの自然に触れて育ちました。少年時代の思い出も記事になっています。趣味が多くカテゴリーは多義に渡ります。今は鮎の友釣りにハマっています。自然が好きで自然の中に居るのが、見るのが好きです。ですので樹木は特に好きで、樹木の話が多く出てきます。 電子書籍作りも勉強して、何とか発売できるまでになりました。残り少ない人生をどう生きるかが、大事です。