一番人気のクッキー缶「No.1シズカビスケット」ははちみつやチョコレート、紅茶など6種類の味わいを楽しめる!
ベイキングの癒し!原料にこだわり、シンプルな工程で素材の味を引き出す優しいお菓子を作りたい!!
白金高輪の住宅街にある「シズカ洋菓子店 自然菓子研究所」(東京・港) を尋ねると、その無駄のないたたづまいに驚く。
外館はコンクリートに薄い塗装を施しただけで、目に入るのはフランス語で菓子店を意味する「PATISSERIE」のみ。
店内にも余計な装飾はなく、主役のお菓子だけがガラスケースの中で輝く。
この雰囲気はシズカ洋菓子店のお菓子作りへの姿勢を反映したものに他ならない。
「原料にこだわり、シンプルな工程で素材の味を引き出す優しいお菓子を作りたい」
と話すのは、代表の栗原代奈=だいな さん。
国内を中心に農薬や化学肥料を極力使用しない原材料を選び抜いているが、
店頭で一切けん伝しないのは「お菓子は美味しいことが何より大事」という信念からだ。
看板商品のクッキー缶「NO.1シズカビスケット」には

看板商品のクッキー缶「NO.1シズカビスケット」は隙間なくぎっしりと詰め込んだ!
6種類のクッキーを隙間なくぎっしりと詰め込んだ。
美しいグラデーションは欧州の田園風景をイメージしたという。
焼き色と食感の違いは、使用した粉の種類や配合によって生まれる。
「素材の美味しさを最大限引き出すため、グラム単位の調整を繰り返し、
緻密な計算に基づいて作っています。」と栗原さんは説明する。
定番の全粒粉のナチュラルビスケットはザクザクとした食感で、
使用したその粉そのものの味わいさに甘さとバターの香りが加わる。

インスタグラムにバナナブレッドのレシピを動画で投稿した!動画再生回数は30万回に達した!
優しい甘さは人を幸せにしてくれる。家で癒しの時間を作るために、買い求めてくれる人が多いい!!
栗原さんを中心とする創業メンバーはベルギーの
高級ショコラティエ「ピエールマルコーニ」出身だ。
華やかで凝った装飾が魅力のマルコリーニと逆のアプローチは、
今から約2年前、新型コロナウイルスと向き合う日々の中で生まれた。
「コロナで人の動きが止まった時に、空気が綺麗になったというニュースを見たりした。
環境に意識が向き、お菓子作りを通じて、
自然や体に優しいことをしたいと思うようになった。」(栗原さん)
持続可能性への意識は店頭に並ぶ商品のラインナップにも宿る。
栗原さんいわく多くの洋菓子店が
8割をケーキやシュークリームなどの生菓子、
2割を焼き菓子に当てるところ、
シズカ洋菓子店で箱の配分を逆にした。
そうすることで廃業を減らしたり、
パティシエの過重労働を解消したりできるという。
オープンは2021年3月でコロナ渦の真っ只中だったが、
地元の人を中心に当初から客足が絶えない。
栗原さんは「優しい甘さは人を幸せにしてくれる。
家で癒しの時間を作るために、買い求めてくれる人が多いいのではないか」と話す。
外出機会が減ったコロナ下では、家庭でのお菓子作りも盛んになった。
一時スーパーで小麦粉が品薄となったのは記憶に新しい。
成果材料販売の富澤商店(東京・千代田)によると、
同社の小麦粉など「粉もの」の売り上げはコロナ渦が始まった20年春頃に急伸。
21年もオンライン・店舗ともにコロナ前の水準を大きく上回ったという。
「簡単なのにこんなにおいしいなんて」
「みんなが作っているので私も作ってみたい!」――-。
料理研究家の若山耀子さんは20年3月、
少しでもステイホームの時間を楽しんで欲しいという
気持ちでインスタグラムにバナナブレッドのレシピを動画で投稿した。
すると、まもなくSNS上で実際に作った人の投稿が目立ち始め、
動画再生回数は30万回に達した。
料理研究家の若山耀子さんは20年3月少しでもステイホームの時間を楽しんで欲しいという気持ちでインスタグラムにバナナブレッドのレシピを動画で投稿した!
動画はわずか1分。
材料も完熟したバナナのほか、
砂糖や小麦粉、
食用油など既にキッチンにあるか、
近場で簡単に手に入るものばかりだ。
ボールでつぶしたバナナと他の材料を混ぜ合わせ、
型に入れてオーブンで焼くだけ。
この手軽さがお菓子作りの初心者にまで広く受け入れられた。

料理研究家の若山さんは陽光が差し込むアトリエで、手際よくババナブレッドを作っていく!
家中に甘い香りが漂い始める。若山さんは「焼き立ての香りは作った人しか味わえない。この香りに癒された人が多かったのでは!!
オーブンに入れてしばらくすると、次第に家中に甘い香りが漂い始める。
若山さんは「焼き立ての香りは作った人しか味わえない。
この香りに癒された人が多かったのでは」と振り返る。
「お腹が空いたり時間になったりしたら作らなくてはいけないご飯と違って、
嗜好品のお菓子はゆっくりとした気持ちで作れるのも大きいかも」
若山さんのお菓子はフルーツを使ったものが多い。
「例えばイチゴを生クリームと混ぜると、
赤とピンクのグラデーションがきれいだなと感じたり、
レモンを絞るとぱーっと良い香りがしたり」。
お菓子作りには心が休まる瞬間がたくさんあるようだ。
もともと欧州では”Stress Baking””Anxiety Baking”などといった言葉がある。
家庭でのお菓子作りブームは世界的な現象で、
米ニュヨーク・タイムズ紙も20年3月に「いつもよりストレスベイキング?
自宅待機で米国人は生地をこねる」という題の生地を掲載した。
決められた分量と手順に従って生地を混ぜ、
出来上がりを待つことに癒しの効果があるという。
食べてよし、作ってよし。
先がみとうしにくい日々が続く中、
素朴な味わいのお菓子が私たちの生活に彩りを添えてくれている。
平野麻里子 山田麻那美撮影。
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